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コロナ禍での事業承継のメリット・進め方のポイント

コロナ禍での事業承継のメリット・進め方のポイント

解説:日本経営ウィル税理士法人
藤井 邦夫

多くの中堅・中小企業は、新型コロナウィルスの影響を受けています。新型コロナウィルス感染拡大の終息はいまだ見えていませんが、見方を変えれば、コロナ禍は事業承継の絶好のチャンス・タイミングとも考えられます。

一言で事業承継と言っても、誰に承継させるかによって対策や考え方が変わってきます。近年はM&Aなどによる外部への承継も増えてきましたが、今回は事業承継の類型として一番多い親族内承継について記載したいと思います。

親族内承継における、地位の移転と財産権の移転

親族内承継を3つの移転に分類すると、①地位の移転 ②経営支配権の移転 ③財産権の移転に分けられます。①地位の移転というのは、経営理念や経営者の信用・取引先との人脈・従業員の技術やノウハウなど 、目に見えない資産の引継ぎのことを指します。

この中の①地位の移転③財産権の移転は、コロナ禍において見過ごせないメリットがあるのです。

地位の移転についてのメリットとポイント

目に見えない資産の承継については、形がないだけに、どのように承継や引継ぎをすべきかは経営者の最大の課題となります。現在のように過去の延長線上では対応できないような困難な時期は、後継者が現社長の経営手法や困難な意思決定を間近に見て学ぶ絶好の機会となります。

経営人材の育成には、修羅場体験が重要と言われますが、見方によっては今ほどの修羅場体験もありません。修羅場体験を現経営者と後継者が並走することにより、経営の本質を共有し、継承することができます。

場合によっては、後継者の方が急激な環境の変化に対して思い切った行動をとれることもあるでしょう。それが、会社にとってもプラスになるケースも出てくるかと思います。今回のような大きな環境変化が事業承継、特に後継者育成の絶好の機会になりえるのではないでしょうか。

財産権(株式)の移転についてのメリットとポイント

事業承継対策というと真っ先に思い浮かぶのが、相続税、税務対策ということになりますが、税務的な視点で考えると、一般的には財産価値が低く、株価も低いほど、承継しやすいということになります。つまり、一時的な会社業績の悪化や市場での株価の下落という状況は、財産権の移転がしやすいということになりますが、まさにこのコロナ禍が、この状況を作っていると言えます。

そこで、まず、非上場株式である自社株式について、直前決算期や今後の株価のシミュレーションを行い、現状把握を行う事をお薦め致します。

《参考》 日経平均
[2019年12月末]23,656.62円(100%)
[2020年03月末]18,917.01円(80%)

令和2年7月9日(木)、国税庁ホームページで「「令和2年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」の一部改正について(法令解釈通達)」等が公表されています。今回公表された業種目別株価等は、令和2年4月分までです。

コロナの影響について一例を挙げると、宿泊業,飲食サービス業 等については、前年株価481→4月株価355 など約25%下落しています。

つまり、同業種比較では、株価が大きく下がっている可能性があり、財産権の移転の観点で考えれば、やりやすくなる可能性があります。

親族内承継の成功の秘訣

事業承継については、後継者の育成や株式や経営権の引継ぎ方法など様々な問題が絡み合っています。
特に親族内承継については、事業を承継しない兄弟姉妹も含めて、財産分割及び相続の話になります。親族内承継の成功の秘訣は、円満な相続とも言えます。

このコロナ禍で、何を優先しどう判断すべきか迷う事もあるかと思います。 目の前の環境や状況を前向きに捉えて、事業承継に取りくむ事業者を私どもは強力にバックアップ致しますので、ご興味を持たれた方はぜひとも遠慮なくご相談ください。

2020年7月31日

日本経営ウィル税理士法人
藤井 邦夫

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の税務・経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、税理士など専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

  • 事業形態 事業・国際税務
    相続・オーナー
  • 種別 レポート

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